四川まみれの覚え書き

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zoom RSS 2012年夏の四姑娘山群登山―登攀観戦〜下山編。

<<   作成日時 : 2012/10/02 03:26   >>

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だいぶ間が空いてしまいました。そうこうしてるうちに中国は国慶節休みに入ってしまいましたが、こちらは夏の記録をチンタラつづけましょう。


麗人峰の登頂から明けて8月13日、この日も快晴。今度は次の目標である針峰(5450mのChibuの第二峰)のためのABCを作ります。[※このChibuについて、記事の一番下に追記を書きました]

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こちらがBCから見た針峰。鉛筆をナイフで削ったあとのようなトンガリ具合が、なんともイカツイ。ルートも長く1000m近くあり、左下からのカンテを主に辿っていくわけですが、意外とライン取りは複雑だったよう。ちなみに奥のピークが本峰のChibu(Qupu、Chupuとも)。


ただ、前日までの疲れが出てきたのか、胃の具合がどうもおかしい。胃がシクシク痛むのです。最初は空腹なだけだと思ってたんですが、いくら食べても治らない。何日か休養すれば治るだろうとは思いましたが、またすぐに動かないといけないので、このあたりからちょっと不安でした。


朝ゆっくりと、10時くらいから装備を分け(登攀中は各自の個人装備を全員で使い、下りたあとはゴチャゴチャに混ざっているので、いちいち自分のをピックアップしないといけない)、テントを干してたたんでパッキング。山崎さんもBCから上がってきて荷運びを手伝ってくれました。

麗人峰のABCから新しいABCまでは、ガレ場をトラバース。あまり良い道(道などない)ではありませんが、サクサク進んで1時間ちょっとで設営地に到着。

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途中で麗人峰をバックに撮ってもらった写真。天気は良いのに、この汚いツラといったら…。

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ABC設営地に全員集合。麗人峰登攀メンバーに山崎さん、畑さん、李慶さんに王さんが加わり、にぎやか。

みんなで整地し、テントをたてたあと、昼食。そのあと麗人峰メンバーは一旦BCに下りて休養することに。

胃は相変わらず痛む。できればもう2〜3日休養したかったのですが、後発隊の野口さん・畑さん・山崎さんの日程が短く、早くアタックしてしまわないとチャンスを逃してしまうため、翌日またABCに上がり、翌々日に本格的なアタック開始、という予定でした。


14日。朝から天気がすっきりしないので、様子見のため午前中停滞。姜さんがうどんを捏ねたので、みんなで延ばして茹でる。美味。
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これを
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延ばして
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茹でる。しかも焚火で。
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できあがり。具だくさんスープで。このあとカレーペーストを入れてカレーうどんにしたり。

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BCの岩屋の下にはネズミが1匹住んでいて、どうも姜さんになついたらしく、よく我々の周りをウロチョロしたり葉っぱを食べに来たりしていました。出没するたびに撮影会が始まるという人気ぶり。


昼前、ぼちぼちとABCに上がる。朝から胃のシクシクが治まっていたので、歩きは順調。

ABCに着いてからラーメンを作り、テントの中でグダグダしてると雨が降ってきました。「ほんとに今年は天気に恵まれてないなぁ」「でもその合間をうまく突いて登れてますよねぇ」なんて話をしていたら、朝から岩に取り付いていた山崎さんと畑さんがびしょ濡れで下りてきました。とりあえずコーヒーとラーメンであったまってもらい、狭いテントに6人集合。

明日晴れたら6人全員で登攀開始だぁ、なんて言ってたら、またぞろ胃がシクシクしだしました。今度はかなりのビッグウェーブ。しばらくテントの中で寝転がってたんですが、良くもならず、それどころか食欲も全く湧かなくなってしまいました。同じテントだった米澤さんと野口さんが、隣でうまそうに夕食のラーメンを食ってるのも何だかうらやましかったのですが、こちらは全く食べる気にはならず。なんか病人になったみたいで、いやな感じでした。

野口さんから胃薬をもらって飲んだり、ホットミルクを飲んだりして、またしばらく寝ていたのですが、なかなか良くならず、結局登攀は諦めてBCに下りることに決定。あー悔しい。

今までで一番長く山に滞在し、合計6回ビバークしたり、ひたすら荷上げしたり、と自分の実力以上の力を出してしまったからでしょうか。はたまたトレーニング不足か。なにはともあれ、この状態で無理して岩に取り付いても、足を引っ張るだけなので、スッパリ諦めてBCでじっくり休養させてもらうことに。

BCに下るときは、米澤さんが付き添ってくれて、しかも荷物まで背負っていただいてしまいました。シュラフと必要最小限の荷物だけとはいえ、自分の父親より年上の方に、荷物を持ってもらうなんて…。もう足向けて寝られません。

BCに着くとほぼ同時に日が暮れ、焚火にあたりながらミルクを飲んだりして、ようやく落ち着きました。少しづつ体の緊張がほぐれ、胃のシクシクもだいぶとれてきました。やはり、これまでの疲れとストレスが溜まり溜まって胃にきていたようです。


15日。夜中じゅう雨が降っていたので、岩はびしょ濡れ。この日はABCでも停滞と決まったようで、帰国日が迫っていた野口さんも、登攀を諦めてBCに下りてきました。

逆に、ぼくと一緒に休養するつもりだった米澤さんは、翌日の登攀にそなえてABCに上がっていきました。大内さんといい米澤さんといい、67歳なのになんでそんなに元気なんだ、と疑問でしたが、姜さんによると、「人間は年をとると、あまり休まなくても平気になる」のだそうです。無駄なエネルギーを使わずにセーブできるから、長時間連続で活動ができるのだそうな。ほんとかどうかは実際に年をとってみないとわかりませんが、50年も岩登りを続けてきた人たちなので、もう体がそういうふうになってるんでしょうね。


16日。針峰はガスの中でしたが、雨は降っていないようで、10時半くらいには大内さんたちが登攀しているのが見えました。見えましたといっても、双眼鏡でやっとこさ豆粒みたいに見えるくらいですが、それでも着てるジャケットの色でどれが誰だかくらいは分かるものです。

午後は天気が良く、こちらは洗濯・焚き木とりなど。登攀組もガンガンピッチ数を稼いで、去年2日かけて登っていたところまで一気に上がってしまいました。明日は登頂かな、なんて言いつつ就寝。


17日。2時ごろ、登攀組がピーク直下を登っているのを確認。いよいよ登頂、というところで野口さんが一足先に下山。もう下りないと翌日の飛行機に間に合わない。短い間でしたが、お疲れさまでした!


そんでもって2時半ごろ、登頂確認。岩の上に人が立ってるのが見えました。
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ピークのあたりに人がいるのが見えます。これ、どうやって撮ってるかというと、カメラのレンズに双眼鏡を当てる、という原始的な発想で撮ったもの。これがまたピンホールカメラみたいな写り具合で面白いので、本職カメラマンの姜さんまで真似しだす始末。でもじっさい面白かった。
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こういう状態で撮ってます。

いつもは登攀する側なので、今回はBCから観戦する側に回って新鮮でした。1時間か2時間おきくらいに「さーて、どのへんまで行ったかな〜」とか言いながら双眼鏡で探すのも、また楽しいものです。たまにはこういうのもいいですね。

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下降中の登攀組を捉えたピンホール風写真。拡大すると真ん中らへんに人が見えます。

下降は順調のようで、翌日には確実に下りてきそうな感じだったので、朝から取り付きまで迎えに行くことにして就寝。


夜中に雷。とはいっても、この小溝の上空は晴れてて星が見えており、雷がピカピカしてるのは隣の長坪溝。標高が高いと、隣同士の谷でも天気が違うことがよくあります。それにしても、星を見ながら稲光も同時に見る、というのは不思議なもんだ。でも暗過ぎて写真は撮れず。写真はプロの姜さんにおまかせ。


翌18日、快晴。姜さん特製炒飯を食べ、取り付きへ。胃はすっかり良くなったようだ。そりゃ3日もBCでゴロゴロしてりゃよくなりますわな。少し上がった所から、登攀組の4人が快調に下降してくるのが肉眼でもよく見えました。
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途中咲いていたヒエンソウの仲間。針峰をバックに。

ABCを通過し、登攀ショーならぬ懸垂下降ショーを眺めつつ、ゆっくり上がっていきました。
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左下にくっきり人が見えます。あと2ピッチくらい。

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取り付きから、最後のピッチを下りてくる4人とコールし合う。下りてきたときに、下で誰かが待っているというのは嬉しいもので、途中で4人がこちらに気付いたときに、なんとなく安心感が伝わってきました。

10時半前、全員取り付きに下降終了。おつかれさま!登頂おめでとう!

BCから持ってきたレモン水(砂糖多め)をたっぷり飲んでもらい、デポ地点で装備を整理して、ABCへ。
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ハーネスをはずし、ガチャモノを下し、靴を履き替え、解放感にひたる4人。ハーネスも靴も常に圧迫されるし、ガチャモノは重いしで、こいつらを武装解除したときの解放感といったらありません。

ABCで一休みしたあと、BCへ。今度は山崎さんと畑さんの帰国日が迫っており、彼らはこの日中に双橋溝に下りないといけないのです。

BCに着いたら、姜さんの手作り餃子、王さんが採ってきた松茸(赤松の松茸ではない)、チキン(ホール)がお出迎え。えらく豪勢な登頂祝いでしたが、1ヶ月の間に3本のルート開拓をやったのだから、みんな大満足。しかも3本がそれぞれ名ルートといっても過言ではない素晴らしいものになったので、ホクホクでお祝い。
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餃子!
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松茸!
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チキン!

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松茸を割り箸に刺し、手に手に持って臨戦態勢に突入。
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おりゃあ、カチコミじゃあ!!

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松茸を焚火で焼きつつ(贅沢だなぁ)、乾杯。みなさんおつかれさまでした!


このあと14時ごろ、山崎さんと畑さんが下山。カツカツの日程ながら、念願の登頂を果たして満足の下山。

残った初期メンバーの3人は、余った焚き木をありったけ燃やしたり(この1ヶ月で何トンくらい燃やしたんだろうか)、テントの中でゴロゴロしたりと、各自適当に過ごす。我々も翌日双橋溝に下りる予定で、1ヶ月過ごした小溝を去るのは何だか感慨深いものがあります。小溝の主だった大岩壁は今回で片付き、もう当分来ないので、BCの岩屋に別れを告げるのもなんだか寂しくなってきます。


19日。前日の餃子がまだ余っていたので、炒飯とセットで朝食。なんの嫌がらせか、姜さんが「一個だけワサビ入れてるからね」という罰ゲーム(なにも悪いことしてないのに)を繰り出してきたので、望むところよ、と応戦したものの…。

最初は3人で3個づつ。誰も当たらず、残りは3個。普通、ここで最後の勝負ですよね。3人で1個づつトライしますよね。

米澤さん「私もう結構ですから、残りは食べちゃってください」

大内さん「おれもう腹いっぱいだから、いらねえや。お前食え」

あのさ、それもうゲームじゃないよね。おれワサビ入り確定だよね。罰ゲームじゃなくて強制労働だよね。

それでも、ワサビ入りってもそんなに大量には入ってないよね、と心のどこかでタカをくくってたぼくは、最後の3個も1人で食うことに。


そしてその1分後、目・鼻・口からなんか色々出しながらのたうち回ったのは言うまでもありません。タップリ入ってやがった。おそるべし姜峰。そしてありがとう姜峰。いつかしこたまワサビ食わしたる。


この一人ワサビ騒動が鎮まったあと、8時半すぎ(そんな早くからあんなもん食わされてたのか!)にABCのテント撤収のため、BCを出発。

この作業はサクサク終わり、11時前には再びBCへ。あとはBCの荷物を片づけてポーターたちが来るのを待つのみ。

12時半ごろ、ポーターたちが到着。一休みしてもらい、荷物の振り分けなどしたあと、いよいよ下山。

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荷物分けをする地元のポーターたち。彼らの働きがあってこその、登頂成功です。


下山はゆっくり。途中から雨が降ってきましたが、花の写真など撮りつつ。
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トリカブト。
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えーと、これなんて花だっけ…。
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大黄の葉っぱにも秋の気配。
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リンドウももうすぐですね。
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エーデルワイスの群。もう少し高度を上げると背が低くなり、表面にフサフサの毛が生えます(矮小化)。
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また、、、名前忘れた…。

高度が下がってくると、苔むした樹林帯を下っていきます。
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ホコリタケ。ホコリを吹いたあと。

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この一本丸太をビクビク渡ったら、急勾配を下って小溝入り口の牧場へ。

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下界、とまではいかずとも、牧場や道路が見えてくると、ホッと一安心。無事生きて帰ってきた!

雨の中びしょ濡れになりながらも、アスファルトとかコンクリートなんかの人工物がある場所に戻ってこれたので、もうイジケたりしない。むしろなんだか満たされた気分です。


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王さんの宿に着いて、足湯。ゆっくり疲れをとる。ほんとにおつかれさまでした。


我々の日程はあと数日残っており、このあと一日休養して他の谷を偵察したり双橋溝奥の紅杉林から山を眺めながら(ガスってて見えなかったけど)散策したり。このへんの話は次回。次で終わりです。やっと。



[追記11/6] 記録作成の参考に、外国のウェブサイトで双橋溝の登攀情報を漁っていたところ、未踏峰だと思っていた針峰(本峰のほう。5450m)は、2005年に米国人(?)の女性三人(Katy Holm、Katherine Fraser、Aidan Oloman)が初登頂を果たしていたことが分かりました。ピークの名前は「Chibu」もしくは「Qupu」「Chupu」とあり、名前の由来や漢字でどう書くのかは分からないのですが、とにかく本峰にはすでに最低1つはルートが開かれて、名前もすでについていました。なので、本ブログの記事中で、本峰を指して「針峰」と書いてあったのを「Chibu」に書き直しました。ただし、今回我々のグループで登った第二峰については、今のところ情報は特に見当たらないので、「針峰」のままです。ちなみに、本峰登頂の三人がどこから登ったのか詳しい登攀記録はないのですが、おそらく長坪溝側から登ったのではないかと思います。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
記事、待ってました!
今回の山もすごいですね〜
もう胃の具合は大丈夫ですか?
chicca
2012/10/03 21:18
胃はもうすっかり良くなりましたよ^^
山でストレス性胃炎なんて初めてなので、自分でびっくりしました。
ムロヤ
2012/10/04 01:37

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