四川まみれの覚え書き

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zoom RSS 2012年夏の四姑娘山群登山―小溝・麗人峰編(前編)。

<<   作成日時 : 2012/09/08 00:17   >>

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仙人峰登頂のあと、2日間はBCで休養。焚き木を採ったり、のこぎりで切り揃えたりしてたら、けっこうな重労働になってしまいましたが、それはそれで楽しいもの。


7月31日、次の目標である麗人峰のためのアタックベースを設営。

小溝の本流を突き上げて、カール下の草地にABCを設営しました。地面を平らにするため、周りの石ころを埋め、仕上げに草やコケなどを土ごとむしってフカフカ床に。かなり快適。
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ABCと麗人峰。真ん中よりちょっと右の三角のピークが麗人峰。その右が本峰の観音峰。当然ながら観音峰の方が標高は高いのですが、最初に見たときに「あそこを登りたい!」と指定(?)した米澤さんのご希望どおり、右下からピークに向かってスラッと伸びたカンテの美しい麗人峰の方に登ることに相成ったわけです。実際、素晴らしいルートでした。

8月1日、天候不良のため停滞。王さんが残りの荷物と出前を持って上がってきてくれましたが、また「重すぎる!」の連発でした。この日は一日中テントの中。寝るか食うかトランプするくらいしかやることありませんでした。

翌2日は、ちょっとだけ天候回復したため、偵察及び装備デポ。途中で雨が降ってきたので、三人ともイジケてましたけどね。はじめは、谷の最奥のコルまで上がり、そこから取り付くつもりでしたが、実際に行ってみるとカンテまでのトラバースが相当悪い、ということが判明。雨の中、ガラ場の急登を頑張って上がってきたのに、再び装備を担いでおりる羽目に。

しかし、小溝の反対の長坪溝側に見えた、1200〜1300mはあろうかという、ほぼ垂直の大岩壁には、ただ圧倒されました。あんなの、おっかなすぎて登る気にならない。
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これがその大岩壁なんですが(左側の垂壁)、いかんせん天気が悪い上にカメラの液晶が壊れてたせいもあって、ちゃんと撮れてません。この写真じゃスケールがよくわかりませんね。とにかくデカイです。


結局、取り付きはコルではなく、その下の雪渓を伝って下部岩壁に取り付くことに決定。雪渓の下に装備をデポしてABCへ下る。

下る最中も雨に降られっぱなしで、しかも三人とも疲れていたので、この日はBCまで下って、天気の様子を見定めてから再び上がってくることに決定。今年はとにかく天気が良くなかったので、天気の見定めが難しかったです。


3日。ド快晴。最高の休養日。昨日は上で雨に降られてイジケていたのが、今日は嬉々として干し物に精を出す。そんな日。

元気を取り戻したので、午後からは再びABCへ。今回は自分たちでカレーを運びました。手に提げて運ぶので、浮石を踏んだりすると超緊張しました。


4日、いよいよアタック。夜明け前にABCを出発。1時間半ほどで取りつき。デポしてあった装備を身につけ、いざ登攀開始。
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雪渓の左側から上がって、最上部よりやや下から左のバンドに移る。

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ここからスタート。雪渓を上がってきてるので、この時点で足先の感覚がほとんどなし。

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1ピッチ目終了点から雪渓取り付きを見下ろす。上がってきたトレース(足跡)がはっきり見えますね。

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2ピッチ目の出だし。得意の人工登攀で突破する大内さん。

この2ピッチ目では、荷物をザイルにつないで、手で荷上げ。大内さんと二人でやったのですが、これがもうキツイわ時間がかかるわで大変でした。あと10mというところで岩にひっかかるし。上がらないし。結局ユマールだの何だのを駆使して、なんとか荷上げ終了。なんだかんだで背負って上がった方が良かった。消耗はなはだし。
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人間も消耗しましたが、ぼくのサブザックがビリビリに。10年以上使ってるマジックマウンテンのアタックザックですが、そろそろ限界のようです。

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3ピッチ目は5mほど人工で上がったあと、大バンドをトラバース。らくちん。

4ピッチ目もそんなに難しくはなかったのですが、天候悪化。雨で濡れたスラブ&ルンゼを右上し、上がったところにテラス。この日はここでビバーク。とにかく天気は下り坂で、午前晴れて午後雨が降るパターンに入ってしまいました。

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ビバークサイト設営準備中。雨に降られて再びイジケ気味。


ビバーク体勢に入り、落ち着いて暖かいものでも作ろうか、という段になって、なんと食料袋にラーメンが入ってないことが発覚。ジフィーズやマーボー春雨などはあるものの、なぜかラーメンがない。2ビバークの予定で来ているので、微妙に足りない計算。なぜ誰も気がつかなかったのか不思議ですが、とにかく気を取り直してコーヒーで気分を落ち着ける。とりあえず行動食のほうはたくさんあるので、それでなんとかごまかそう、という話になりました。どんだけイイカゲンなんでしょうね、わたしら。

そんな状況の中、再び米澤さんの音楽プレーヤーが大活躍。通常、岩場のビバークにおいて決して得られることのない、「心の安らぎ」を存分に味わうことができました。おかげで空腹も紛らわすことができたのでした。


翌日は朝からガス。天気回復を多少期待しつつ、登攀開始。

5〜7ピッチは比較的スムーズでしたが、ずっとガスの中、ちっとも士気は上がらない。
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そしていよいよカンテラインの核心部に突入、というところで、ついに降り出しました。雨、ではなく、みぞれ。ヘルメットに響くカチカチという音が、低空飛行のテンションをさらに下げてくれます。

で、あっという間に岩も我々もびしょ濡れ。立っていた小テラスも、みるみるうちに真っ白。それでもリードの米澤さんが、なんとか突破を試みたのですが、フェースが濡れてしまえば、登れるものも登れません。

そこで一旦、右側の雪渓まじりのルンゼに入ることに。下から見ると、このルンゼを突き上げて滝のようになったところまで行けば、なんとか左にトラバースしてカンテの上に出られるように見え、とりあえず強引に突破してみることに。トラバースしてカンテの上に出たら、ビバークに最適な大テラスがあるんではないか、という淡い期待を抱きつつ。

ということで、みぞれと雨の降り続く中、強引にガレと雪渓のまじったルンゼを、ビッチョビチョになりながら登りました。技術的にはなんら難しいところのないルンゼでしたが、悪天候に疲労に寒さに加えて岩もビチョ濡れという、なんかもう破れかぶれな状況だったので、このルンゼ3ピッチを登ってる間中ずっと「もう帰りたいよう」と心の中で泣いてました。写真撮る余裕もなし。

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それでも頑張って、ルンゼの行き止まりからカンテに向けて強引なトラバースを敢行する大内さん。ほんと、晴れてればもっと楽ちんだったんでしょうが。もっとも、晴れてりゃこんなルンゼに入ってこずに済んだんですが。実際、2度目のときはルンゼに下りずにカンテラインを真っ直ぐ上がりましたからね。

結局、このトラバースは功を奏さず、この日はルンゼの行き止まりでビバーク。でもね、ルンゼって要は沢なんですよね。よもやの沢ビバークですよ、これ。

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狭小なビバークサイト設営にとりかかる。最初に作った場所は、設営完了後30分で水没。あっという間にケツの下に川が流れました。ええ、冷たかったです。高度5000m近くで、雨に降られながら沢の中に座ってりゃ、そりゃ濡れますわな。ぼくら、頭どうかしてますな。

ということで、すぐにビバークサイト2号を、今度は流れからはずれたところに作成。ここでも濡れないことはないのですが、少なくとも水の流れはないので、やっとこさ一息つけました。

ツェルトをかぶり暖かい飲み物を飲んで、なんとか落ち着きましたが、足も伸ばせないし狭いし寒いしで、気分は最悪。眠気はあっても、寝ることなんてできません。ほんのちょっとウトウトするかしないか、くらいで、だいたいみんな1時間か1時間半おきくらいにモゾモゾ動いてガスバーナーであったまり、ボソボソと話をしたり。米澤さんの、奥様とのハートウォーミングな馴れ初め話を拝聴したり、なけなしの行動食やジフィーズを食べたり、あとはひたすら夜が明けるのを待つのみ。とても長くて寒い一夜でした。


朝6時頃、夜明け前にツェルトから顔を出しても、相変わらずのガス。今回は諦めて、退却。まだ日数はあるので、一旦BCに下りて次のチャンスを待つことに。

朝食を行動食だけで済ませ、さっさと撤退準備。もう服も装備も濡れっぱなしなので、いまさらまた濡れても最早気にならない。人間って不思議なもんです。しかも、最初のビバークサイトにデポする用に、空になったペットボトルを沢の水でマンタンにして担ぐ、という変なヤル気まで見せたり。


下降はスムーズ。ただ、ザイルが濡れてるので引くのが重かったのと、懸垂下降中にザイルから泥水がバシャバシャ絞られて太ももにかかるのが超不快でした。まあ、、、よくあることです(なげやり)。

大内さんは朝から、風邪+睡眠不足+空腹+疲労のため体調不良。下降中、ABCに帰りつくまでずっと、嘔吐感があったようで、ひたすら肉食動物の唸り声みたいなサウンドを出しておられました。おかげでこっちは何度吹き出しそうになったことか。

12時ごろ、取り付きへ到着。そして13時すぎにABCへ無事帰還。米澤さんとぼくで、お湯を沸かしホットジュースを飲んで落ち着く。大内さんは何も喉を通らない、と言ってグッタリ。BCから持ち上げておいたカレーも、3日間の自然熟成を経て味に深みが増していました。俗に「カレー、3日食わざれば括目してこれを食せ」と言いますが、正にその言葉通り。そんなカレーも大内さんは食えず。

3人とも疲れていたため、時間もまだ早いし、BCに帰るまえにひと眠り。1時間半ほどの睡眠でしたが、なんと大内さん復活。起きるなり、「腹減った、ラーメン食う」と言いだし、テントに残置してあったラーメンをペロリと食べてしまわれた。ついさっきまで、もうなにも出やしないのに吐いてばかりいた人が、ほんの少しの睡眠で全回復したのにはびっくりしました。

なにはともあれ、大内さんも回復したことだし、とにかくBCに帰還すんべ、と必要なものだけ担いで出発。夕方にはBCに到着。

BCに帰ると、東京YCCの野口さん・李慶さん・李慶さんの友人の呉さんが上がってきており、BCがいつになく賑やか。濡れ物を焚火で乾かしながら、昨夜のミジメなビバークの話などしつつ盛り上がりました。


李慶さんは成都と双橋溝を行ったり来たりと大変だったのですが、そのついでとばかりに、液晶の壊れたカメラの代替として、安いデジカメを買ってきてもらうよう頼んでおり、このときにその新カメラを持ってきてもらってました。ニコンの小さいデジカメですが、今度はケースが付いてるので岩にぶつけても大丈夫。

米澤さんは新たに上がってきたウイスキーに舌鼓を打ってご満悦の様子でした。


このまま2度目のアタックに入ると長くなりそうなので、今回は麗人峰前編として、ここまで。登頂は後編にて。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
めちゃめちゃすごいー!すばらしい体験もあるけど命掛けなんですね!
ものすごくハードでおどろきました!
登山をしたことがないですが、私は無理だって思いました、
ムロヤさんの体験を読ませて頂き疑似登山で楽しみます^^
ご無事で何よりです><。。よかったぁ〜。
ko-de-bu
2012/09/09 00:42
のほほんとした癒し系のムロヤさんの、Another side ですね。
体力も精神力もすごいです!地球制覇!って感じですね。
気をつけて頑張ってくださいね〜^^
chicca
2012/09/09 15:18
>ko-de-buさん
ありがとうございます^^
最近は命がけって感じはなくなってきましたね。ハードですけど…。とにかく無事に下りることを考えながら登ってます。

>chiccaさん
いやいや、実際は体力も精神力もそんなにないですよ^^;
ほんとに、無理やり捻りだしてるというか。無い袖を振る感じです。。。
また頑張ります!
ムロヤ
2012/09/13 16:56

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